バラキ

新年早々、演技の良いタイトルではないが……。

「バラキ」（1972年、イタリア／アメリカ、125分）。
テレンス・ヤング監督とチャールズ・ブロンソンのコンビは、「夜の訪問者」 (1970)、「レッド・サン」 (1971)、本作と、3年連続。

同じ1972年には、「ゴッドファーザー」（フランシス・フォード・コッポラ監督、マーロン・ブランド／アル・パシーノ主演）が、米国で公開されている。
「ゴッドファーザー」は重厚で劇的な傑作だったが、「バラキ」は対照的な秀作と思う。

現役のマフィアの証言による実録物であること、刑務所や司法側での場面が現在形で、マフィアとしての現役時代が回想になっていることで、
全体として、静かな、張り詰めた雰囲気がある。
主人公ジョゼフ・バラキのキャラクターに合わせた、口髭のないブロンソンが見られる。

アトランタ刑務所でのヴィト・ジェノベーゼ（リノ・ヴァンチュラ）の暮らしぶりが贅沢で、驚く。
専属の床屋もいる。三食・料理人つきで、食材も自由に調達できる。買収されている看守たちは、ボスを「さん」付けで呼ぶ。

1959年、麻薬売買の罪で、その刑務所に収監された早々、バラキは昔からの仲間に冷遇され、シャワー室で襲われる。
釈明のため、ジェノベーゼを特別房を訪ねる。
ジェノベーゼはバラキに「死の接吻」を行う。周囲の子分たちは驚愕する。
自分を売った裏切り者がバラキだと、ジェノベーゼ自身が確信していたのだ。接吻は「お前を殺す」という宣告の印だった。
バラキは、接吻を返す。
「お前には子供が何人いた？」とジェノベーゼは問われ、「一人」とバラキは応える。「あなたは？」「六人だ」
彼が房から去った直後、「バラキの首に２万ドル賭ける。皆に伝えろ。」とジェノベーゼは言う。
（リノ・ヴァンチュラの冷然とした貫禄が凄い。）

バラキは、自分を狙っていると思った囚人（実はそうではなかった）を殺し、独房へ逃げる。しかし、食事に毒が盛られているかもしれない。
家族が狙われ、殺人罪も加わった。
遂に彼は、司法省の保護下に入り、コーサ・ノストラとしての自分の半生を、上院・マクレラン委員会で証言する。（1963年）

ここから、回想が始まる。戦前から1950年代までの抗争の歴史を語る。戦前の部分は、劇的だ。

バラキを育てたサルヴァトーレ・マランツァーノ。
６か国語に通じ、自分を「ジュリアス・シーザー」に擬す、ニューヨークのインテリ・ボスを、ジョセフ・ワイズマンが好演している。
（007第1作の「ドクター・ノオ」役。）

マランツァーノの指示で、大ボスのジョー・マッセリア（アレッサンドロ・スペルリ）暗殺の下見に行く前、バラキは、マッセリア・ファミリーの幹部の写真を見せられる。
１枚目はジェノベーゼ、２枚目はラッキー・ルチアーノ（アンジェロ・インファンティ）。
バラキは、その実物に、エレベータの中で会う。

目の前で銃撃を受けたボス（バラキの保証人）ガエタノ・レイナ（アメデオ・ナザーリ）の葬儀で会い、一目惚れした娘マリア（ジル・アイアランド）と結婚する。（仲人は、ジェノベーゼ。）

日本で言う「仁義」はない。
「敵となったシシリー人は一人残らず殺す純血主義」がシシリー人同士の「仁義」だ。
抗争の海を、バラキは泳ぐ。
目の前で銃撃を受けたガエタノ・レイナ（アメデオ・ナザーリ）の葬儀で会い、一目惚れした娘マリア（ジル・アイアランド）と結婚する。（仲人は、ジェノベーゼ。）

２枚目の裏切りで、マッセリア殺しは成功する。（1931）

間もなく、マランツァーノは、２枚目に殺される。（1931）
バラキのボスは、ルチアーノ、フランク・コステロ、ジェノヴェーゼに変わっていく。
ルチアーノは、1946年にアメリカを追放され、豪華客船でイタリアに送還される。1962年、ナポリ空港で心臓発作により死亡した。
コステロは、麻薬を扱わなかったので、無事に引退した。1973年、ニューヨークで心臓発作により死亡した。

マクレラン委員会での証言後も、組織による暗殺を怖れ、バラキは自殺未遂を図る。最も安全な刑務所の独房で、1971年、心臓発作で死んだ。
（ジェノベーゼは1969年、別の刑務所の独房で、心臓発作で死んでいた。）

映画は、バラキの死の翌年に公開された。

この陰惨なストーリーに、リズ・オルトラーニの静かで哀愁を帯びたテーマ音楽が、妙に合っている。

このＨＤマスター版は画質がよいことは勿論だが、日本語吹替版が入っているのが魅力だ。
ブロンソンの声を大塚周夫、ヴァンチュラの声を森山周一郎。

ジェノベーゼの疑心暗鬼が、バラキを裏切り者と誤解させ、ファミリーの完全崩壊を招いたのだ。

本作の内容については、既に何人かのレビューワーの方たちが細かく解説してくれているので省略します。

１９７１年頃だったと思いますが、当時高校生だった自分は劇場で本作を見たし、その後、テレビの地上波でも何回か放映されているのでよく覚えています。自分の歳がバレてしまいますね。

よく「ゴッドファーザー」と比較されがちな映画「バラキ」ではありますが、自分はドキュメンタリータッチで淡々とストーリーが進んでいく本作の方が好きです。

特に映画のオープニングとエンディングで流れる美しいテーマ曲がすごく印象に残ります。

今回、デジタルリマスター版として改めて本作のＤＶＤを観て音楽も含めて感動しました。

ゴッドファーザのテーマ曲も素晴らしいと思いますが本作のテーマ曲も負けてはいません。

むしろ自分はバラキのテーマ曲の方がすごく印象に残ったので、見終わってからレコードショップで本作のサウンドトラック版を買った覚えがあります。
まだＤＶＤはおろかＣＤなるものがないアナログの時代でした。

このテーマ曲を手がけたのが、リズ・オルトラーニという音楽家でイタリアでは、ヘンリー・マンシーニと並んで有名な巨匠です。

昔、ヤコペッティ監督の「世界残酷物語」というドキュメンタリー映画がありましたが、この映画の中で流れる「モア」という名曲を手掛けた方であることを後で知りなるほどと納得したものです。

「モア」の曲はイージーリスニングのスタンダードナンバーにもなっているほど有名な曲なので、どこかで聞いたことがある人が多いと思います。
特に中高年の方だったらよく知っているでしょう。

話は戻りますが、この「バラキ」のテーマ曲もじぃ〜んと胸を打つものがあってジョー・バラキという主人公の元マフィアの人間の生き様を象徴しているようで意味深いものを感じます。

このテーマ曲を聴くだけでも観て損はしない映画だと思います。

不謹慎なタイトルで失礼いたしました。

マフィアに対して全く分からなかったので
この作品はそういう人にとって、とても良いと思います。
勉強になります。ファミリーや契り、仕事の類
禁止事項など。禁止事項は大切です。
とんでもない目に合います。

でも結婚して家庭があるとは思いませんでした。
そして、奥さんになる人はそれなりの覚悟をきめていて
感動しました。

バラキはすごい記憶力だと思いました。
考えれば1つ1つの出来事は、そう簡単に忘れられるような
事ではないです。

繰り返しみたいと思う作品です。
２時間弱でしたが、長さを感じなかった＝良かったです。

ファミリーの絆は固いようで、裏切りも簡単
男性の気持ちは分かりませんが、カポになりたい
それが目標なのでしょうか。

イタリアが発祥のようですね。
とにかく少し知識がつき嬉しいです。

数あるブロンソン出演映画の、最高傑作じゃないだろうか？　回想形式の、演出がいい！！

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ディノ・デ・ラウレンティスによる壮大なマフィア歴史。
監督がテレンス・ヤングなのも良い。
バラキがマフィアの実情を白日の下に晒したバラキ・ペーパーと呼ばれる実録。
個人的には日本では分からなかったマフィアの殺し合いの殺人株式会社の歴史が良く解る。
他の映画でも出てくるがアメリカの刑務所内はボスの言いなりなのが解る。
ここに出てくるラッキー・ルチアーノはイメージは似ているがいい男過ぎる。
この映画の好きな所はリズ・オルトラーニの音楽だろう。この人特有の残酷な映画には反対に甘い音楽がモットーらしい。