蛇男　ＴＨＥ　ＳＮＡＫＥ

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レビューを拝見するとあまり評判よくないようですが、私は佳作だと思います。

タイトルどおり、蛇のようにねちっこい、執念深い男が出てきます。
フランス映画らしい、重厚な感じのサスペンス。キャストもとてもうまい人ばかり。
意外性はないのですが、地味な展開の中にも、
ハラハラしたり、スリリングなシーンもあり、緩急があって楽しめました。
ラストにもかなりの見せ場があります。

オルガ・キュリレンコ、「ヒットマン」にも出ていましたが、
ほんとに魅力的で圧倒されます。

（以下、ネタバレです。ご注意ください）


ただ、どの登場人物にも感情移入できないんですよね。
それが致命的。
写真家のヴァンサン、その妻、ヴァンサンを付け狙うプレンデール。
みんなきわめて利己的、身勝手です。

子供の頃のちょっとしたいたずらは、誰もが経験していると思いますが
それがもし、人の人生を変えてしまったなら、いたずらではすまなくなるのでは？
謝罪すべきです。

昔いじめられた子が大人になって復讐するという事件は
日本でもありました。
やられたほうがリベンジしたい気持ちはわかるけれど、
どこかで切り替えなくては、それで人生を棒に振ってしまいます。

そしてヴァンサンの奥さんにいたっては、
女性として全く理解しがたいですね。ありえません。
原作、脚本は間違いなく男性でしょうね。

あえていえば、老弁護士だけは共感できたかな。
女の色香に惑わされて失態を演じたけど、
考え直して人間としてやるべきことをちゃんとやろうとした。

ラスト、これでいいのかな…と後味悪いですよね。
ヴァンサンは、重大なことをしないまま
話が終わってしまうんだもの。
そして本人はそれに気づいていない。

フランス映画だし、「蛇男」って邦題だし、
どうせ食えないＢ級映画だろうって思ってたけど、
これが、なかなか惹き込まれる、王道サスペンスだった。

蛇のように執念深い男に睨まれ、少しずつ人生が破綻してく男の話。

どっちも登場人物は３５〜４０ぐらいのオッサンなんだけど、
どっちの勝ちで終わる物語なのか、
最後までハラハラドキドキだったのね。
罠と罠抜けのかぶせ方が巧妙。いや〜、面白かった。

　傑作ノワール「蜘蛛女」（93）のマネしてこんなタイトルつけたとしたら、あちらと同様、キワモノと思わせておいて実はまさかの快作なんじゃないか・・・。っと期待して借りてみた本作です。

　・・・う〜む、ぜんぜん違いました（笑）。

　1番の違いは、犯罪者像。「蜘蛛女」がなぜあんなに面白いかと言えば、悪女っぷりが尋常じゃないから。金の為ならなりふり構わず、女を武器にもするし捨てもする。他人に対する情もなければ自分の肉体に対してすら思い入れもなんもない。感情のない犯罪マシーンなんざんす。この凄まじさにはホント呆気に取られちゃって笑うしかなかった。あれって一応フィルム・ノワールの形とってるけど、あんなファム・ファタルは映画史上初じゃないでしょかね。とことん「ドライ」な怪女。すんばらしいの一語に尽きる。

　で、こちら、蛇男さんは「ウェット」なんです。そりゃ蛇だからね、ヌルヌル・・・って、そうじゃなくて。ルックスは「大きくてばっちいディカプリオ」。彼が標的にする写真家の男とこの蛇男との関係がね、訳アリですので。「ハード・キャンディ」（05）でも同じこと思いましたが、やられても仕方ないよねって状況設定だとどっちにも感情移入できなくて、観客としては溜飲を下げるポイントを見失う訳です。

　内容的にも陰惨な話で、お互いに卑劣な行為を「やったら、やり返される」「やられたら、やり返す」の繰り返し。どっちにも罪悪感がなく、当然謝罪もなし。そりゃ人間なんて汚い生き物で欲望と利己心の塊だけどさ、一寸の虫にも五分の魂じゃないけど、せめてフィクションの世界では「美しい」ものを見たいじゃないですか。ヴァンサンさん（主人公ね）よぅ。あたしゃアンタの詫びの一言が聞きたかったよ。どさくさに紛れて奥さんと和解してんじゃないよ。プンプン。

　リストアップの経緯を忘れタイトルだけでホラー作品と思い込んだせいで、話の展開が遅くつまらないとの印象を持ってしまった。途中でイントロを読んでみると本格サスペンスドラマらしいことがわかり、再開してみたが30分過ぎの落下シーンでリタイアを決めた。
　最初の6万ユーロのじいさんの一件で、主なる話も金銭目的の美人局詐欺チームによる第二弾作戦と思わされた。違う動機があるなら、最初の事件は不要で始めから謎のまま展開してくれれば興味を持てたのだが、、、女は魅力的だったけどね 笑



※レーティングは、A+,A,A-＞B+,B,B-＞C+,C,C- の9段階。

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　これは眠気が飛んだ。
　理由も分からずに罠にはめられていく男。その理由がわかるまではほんとサスペンス。わかってからは、まあ、本人にとっては、ものすごく大変なことだったのだろうし、それが原因で母親が苦悩の末死んだとなれば、怨むのも仕方がないとも思うが、１３歳の少年のころの話で、悪気があったとは思えない。ちょっとしたいたずら心が、とんでもない結果をまねいたのだ。
　長い間復讐の計画をねって実行するあたりは、蛇男。でも後半、脱走しながら、反撃にでるのが快い。これで、夫婦仲ももどってよかったよかった。
　怪しい女が近づいてきたら、用心すること。まあ、そんないいことはないけれど。