シルク

シルク、つまり絹のもととなる蚕（カイコ）の卵を求めて、遠く、鎖国時代の日本にまで足を踏み入れたフランス青年の物語です。
音楽は、『ラストエンペラー』の坂本龍一さん。役所広司さんや中谷美紀さんが出演していることと、物語の舞台に日本が登場することで、私もずっと楽しみにしていた作品です。

良いところとしては、
●1860年代の幕末の日本が、とてもリアルに描かれていて、これほど美しく再現させた映像は、観たことがないほどにすばらしいと感じました。
●娼婦館のマダムを演じる中谷美紀さんの英語が、とても美しかったです。
●役所広司さんの髭面も、いかにも山深い村の男という印象を受けました。
●いつも嫌味な役を演じてしまう、國村隼さんの演技も、とってもナチュラルでした。でも、時々で良いから『芋たこなんきん』の優しい夫のような役柄も、演じて欲しいです。
●全体的に、映像がとても美しいこと。

悪いところとしては、
●物語は、日本で出逢った少女（芦名星）のことが忘られずに過ごす、主人公のエルヴェ（マイケル・ピット）の話なのですが、この出逢いと少女への想いが、未消化のまま物語が終わってしまうことへの不満。
●現実問題として、村の少女（厳密には少女ではなく、既に大人の女）が、幕末当時に、初めて接する外国人に心惹かれるその訳が分かりませんでした。その決定的なきっかけもありません。所詮は、日本女性に憧れる白人男性の原作がもとになっているためかも知れませんが・・・。実際問題として、原作では日本への憧れや幻想が描かれているだけのようです。
●どう考えても、幕末の薩長軍と幕府軍との内乱を、まるで『ラストサムライ』のように、野武士達との死闘だと思っている節が物語に感じられること。

私は映像の美しさだけに惹かれて観ていたので、決して飽きはしなかったのですが、娯楽性に乏しいとても淡泊な映画で、物語としての出来は、星が二つが良いところだと思います。
ただ、重ねて書きますが、とても綺麗な古き良き時代の日本の風景は、一見の価値はあるかもです。

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　19世紀後半。ヨーロッパは産業革命をすでに経験しており、日本は江戸時代。

　軍の休暇を利用して帰郷していた青年エルヴェは、エレーヌと出会い、たちまち恋に落ちる。

　そんななか、製糸工場で潤い始めた村の蚕が疫病で死んでしまうという危機が起こり、質の良い蚕の卵を海外に求める必要が生じた。エルヴェはこの使命を引き受けるべく退役し、旅立ちを前にしてエレーヌと結婚する。

　村民の命運が製糸業にかかっているとあって、エルヴェは、アフリカに次いで、極東の島国日本へと旅立つことになる。山形の高地にある村へたどり着いたエルヴェは、そこで原十兵衛なる男から無事に蚕の卵を仕入れる。

　そのとき、エルヴェは、原の妻である美しい女性にすっかり魅せられるのではあるが、逢引きもかなわない。走り書きされた手紙のみを渡されるが、彼はそれを読むことができない。彼女に斡旋された娘をエルヴェは抱く。妻としての貞操を守るため、他の娘に自分の想いを仮託してエルヴェに抱かせたかのような彼女は、交わるエルヴェと娘の様子を、障子の外でじっと感じているが、やがてたまらずその場を去る。

　エルヴェはフランスに帰国する。けなげに待ち続ける妻エレーヌに迎えられ、夫婦の幸せな生活を再開するものの、エルヴェの心には依然としてあの女性の姿が大事な場所を占め続けている。

　ついにたまらず彼は、渡された走り書きを手に、リヨンに住むフランス商人の未亡人（日本人）のもとを訪れ、その翻訳を頼む。そこには、「戻って来なければ、死にます。」と書いてあった。彼は再び日本へもどりたいという思いに駆られる。

　そんななか、再び蚕の卵を調達する必要が生じる。日本では政状が悪化しており、とても危険なため、中国かトルコで蚕を求めようという意見が多いなか、エルヴェは反対を押し切り、再び日本に乗り込む。

　そこで彼が見たものは、かつて美しかった村が戦によって焼き払われた光景であった。絶望しうなだれるエルヴェに、原に使われていた青年がそっと近寄り、原の居場所を教える。エルヴェは原との友情を信じていたため、戦の手助けをしようと、金貨をもって彼のもとを訪れるが、援助はかたくなに拒まれる。エルヴェは、意中の女性との再会を断念し、帰国する。

　子供を望みながらもそれに恵まれなかったエルヴェとエレーヌの夫婦だったが、友人の息子ルドヴィクを実の息子のように大事にしながら、ささやかではあるが幸せな生活を送る。日本からの帰国以来、どこか心に陰が落ちたようなエルヴェは、無難な家庭生活を送るさなか、日本から長い手紙を受け取り、再び未亡人のもとを訪ねる。そこには、エルヴェを想う熱い気持ちが、官能的な文体で赤裸々に書かれており、同時に、永遠の別れが告げられてもいた。

　そんななか、突然、エレーヌを病魔が襲い、
彼女はみるみる衰弱していく。息子がわりのルドヴィクに、エルヴェを今後も助けてくれるよう言い残した彼女は、穏やかにこの世を去る。

　経済的には不自由せず、平穏ではあるが、もの寂しく生きるエルヴェは、突然あることを思い立つと、未亡人のもとを訪れ、あの情熱的な手紙を書いたのがその未亡人ではないかと問いただす。しかし、彼女の答えは意外なもので、実はあの手紙を書いたのは妻エレーヌだったのだ。エレーヌはどこか心が離れてしまったようなエルヴェに感づき、日本で何があったのかを予感すると、自分の思いを手紙につづり、それを日本語にしてくれと未亡人に頼んだのだった。その事実を知ったエルヴェは、自分を思い続けて死んでいったエレーヌの愛を知り、いまとなっては取り返しのつかない人生の出来事全てを、青年ルドヴィクに語る。「私」（一人称）で語られるこの映画の全体は、今となっては老いたエルヴェが、ルドヴィクに語って聞かせた打ち明け話だったのだ。

　原の妻、一言も語らぬ彼女は、日本人ではないという噂もあり、実際その正否は明かされぬまま終わる。それに、彼女の名前もわからぬままである。それゆえ、西洋の目から見て日本を美化しているだけではなく、むしろ異国の地・日本の先に、どこにも存在しない美を透かし見ているようで、その不在の場所に坐するのが、あまりにも美しい所作で人を魅了せずにはおかない、あの美しい「カノジョ」なのだ。

　そして、温泉につかっているところをエルヴェに見られて、静かに顔色も変えず水面下に頭を沈めていく「カノジョ」（原の妻）のイメージと、悲しげにこちらを見ながら海に身を沈めていくエレーナのイメージが重なり合うように、エレーナもまた、その極致に達した愛ゆえに、絶対的な場へと身を移し、手の届かぬかなたで永遠の存在をかちとる。

これは、やっぱり雰囲気を楽しむ物語なんでしょうねぇ。
レビューを先に読んでいたので、期待もしなかった分、
ガッカリも少なかったというところです。

歴史を知らないあたしは、変な日本の歴史が描かれてても、結構平気でしたｗ
しかし、おもてなしをした人間が客人の湯呑みを奪って、
三回飲み口を廻して飲んでる光景は、やっぱり変だ・・・てゆーか、気持ち悪い。
妖艶な日本女性に目を、心を奪われたとでも言いたいのか！？不自然だよ・・・
エルヴェが、村の養蚕業元締めの男の妻に心奪われる過程も、説得力に欠け、
あそこまでしてその女に入れ込む理由が見つからないから、なぁんだかしっくりこないのよね。

フランスに残した妻エレーヌへの後悔の念と、妻の深い愛情を描いているので、
ラストはしっとりとした話になってたけど、エルヴェの目線からでしか物語が語られないから、
あくまでもエルヴェが感じた妻の愛情だし、それぞれが感情を表に出さないから
読み取るのは難しく、感動には至らなかった。

みなさんも書いてますが、映像は綺麗でした。
中谷美紀も役所広司も英語を流暢に話し、様になってたし。
世界に認められたかどうか知りませんが、芦名星はあたしは好きません・・・
あんな一言も話さないビジュアルだけの存在なら、
もっと繊細で透き通るような美しさの日本女性がたくさんいると思うんだけどなぁ〜

『ラストサムライ』『ＳＡＹＵＲＩ』が
思わず脳裏によぎりました。

なんだかなぁ〜。
とにかく、あいまいな内容にちょっと『あれぇ〜〜？！』
ただ世界的ベストセラー小説が元だということですから
こんな風に現実味のない幻想的な
曖昧作品になってしまったのかも…

外国人が見た（もしくは頭に描く？）日本美人とは
少女役を演じた芦名星（あしなせい）だったのか？？？
蜃気楼のような女性≪少女≫の役を掴んだ
芦名星は監督が納得して選んだということらしい。。。


皆さんのレビューを拝見しましたが
これはこれで雰囲気は楽しめるのではないでしょうか。
さら〜っと。
観て余韻を楽しんで。。。
音楽は坂本龍一ですし…なかなかです。

私的には
中谷美紀が娼館のマダム役で
主人公エルヴェと妻エレーヌにとって脇役でも重要な橋渡し
をする役であるものの、
彼女、もうこんな濃いい灰汁の強いおばちゃんを
演じるようになったのかと思うと
感無量でした。。。

日本・カナダ・イタリアの合作ということで
雰囲気をサラ〜っとお楽しみください。

まあ、良かったです。
それなりに。
★★★☆☆

　美しいシーンを期待してら、ちょっと期待はずれかも。
今一つ内容を理解しがたいですが、美しい妻は夫を心底愛していたのだろうと想像できます。
　
　夫も美しい妻を愛してはいたのでしょうけれども…男はやはり助平なのでしょうね。
据え膳食わぬは男の恥なのでしょうか。そんなに綺麗とは思えなかった女性に心引かれたのは挑発されたからでしょう。と私は言いたい。

　男の人はどんな人でも自分に自信が持てないと聞きます。
だから、誘われると自尊心が満たされ誘われるままについて行っちゃうのでしょうね。
　
　女だって同じような者だから文句言えないけれども、不貞はやはり駄目だと私は思う。　どんなに愛し合っていても信用をなくしたらそれまで。　それを許せる人は余程相手を愛しているか天然ボケかな〜なんて思いながら観終わってしまいました。

　正直、つまらなかった。