楳図かずお恐怖劇場　「蟲たちの家」「絶食」

楳図かずお×黒沢清ということで、どういう雰囲気に仕上がっているのだろうと期待していました。
ものすごくホラーな出来栄えだったらどうしよう？とまで考えていました。
しかし、正直なところを言えば、今まで観た「楳図かずお恐怖劇場」の中で一番意味不明な作品でした。
夫・蓮司（西島秀俊）、妻・留以子（緒川たまき）、妻の従弟・直也（内田朝陽）、夫の後輩の女性（しらたひさこ）のそれぞれの心の反映なのか？とも考えてみましたが、納得には至りません。
「虫」ではなくて「蟲」だというのにも何か理由があるのでしょうか？
ただ、一番スッキリしないのは、昼間でも閉じられたままの薄緑色のカーテンと床に散らかった新聞紙です。
何もかかっていないハンガーが、たくさんぶら下がっているのも奇妙です。
そして、高い吹き抜けから見下ろす窓。
あの窓は、蜘蛛の巣の中心でじっとしている留以子がいた部屋の窓でしょうか？
蜘蛛よりも大きなサナギでいてくれた方が、私としては理解しやすかったかも・・・そう思います。

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ほんの数年前まで、夫婦というのは二人だけの方が、赴くままにその愛のありかを確認し合えて、長い長い人生において、またその終局において、純粋な確信的な何かを得ることができるのでは？と勝手に思い込んでたところがあって。
いろいろあるようですよねぇ。お互い見つめる相手が１人なので。

物語はまるで昆虫の複眼のように進行していきます。
夫の、妻の、また夫と肉体関係のある女、妻と肉体関係こそないが血縁にあって某か作為的なワナに落ちている男、各々の目線でとらえられた”事実”は時に一致しているが時にはまったく別もので、それが一本の線にまとまる結果を選んでない事が、安っぽい愛憎劇と言うありようを回避し、黒沢の黒沢たる付加価値を与えているとは思うんだけども、それはあくまでも黒沢が好きで黒沢だったら何でも食うぞくらいの覚悟があるお人でないと許容できないことで、楳図が見たくて見た人にはかなりの失望感があるかも。

部屋の中が雑然としていますと言って新聞紙がくしゅくしゅっとなったのがそこいら中に落ちていたり、ボタ雪の降る真冬に薄手のパフスリーブのブラウスだったり（その姿でガムテでびーっと荷造りしたりもするんですがね）には、黒沢である以上なにか意味はあるんだろうなぁと思いはするけど、脳で転がして楽しみたいとまでは思えなくて。

このシリーズは始めに作品執筆当時の思いとか創意を語る楳図のコメンタリーが付いていて一作ごとに楽しみなんだけど、今作のコンセプトは「大人向け」そして「美しいものが破壊されるおもしろさ」だとか。

美貌の横顔の妻はヒッキーでザムザとくるのに甲虫の時にはちっさいし家蜘蛛にならないで女郎蜘蛛なんですねぇ。蜘蛛の姿はそれはそれで美しいと思っているし、このCGは中でも綺麗な出来なので（１歩目の足音にはぞくぞくわくわくしましたねぇ）、破壊でなく移行に留まったのが惜しいっちゃ惜しいですかねー。

「絶食」のレビュー

楳図かずおの活動開始50周年を記念して上映されたオムニバス6作（「まだらの少女」「ねがい」「蟲たちの家」「絶食」「プレゼント」「ＤＥＡＴＨ　ＭＡＫＥ」）の中のひとつです。
これらの作品を機会をみつけては鑑賞していて、本作が見残していた最後の1作です。
この「絶食」の原作は、1983年に「別冊少女コミック」に掲載された僅か6ページの短編なのだそうです。
楳図かずおファンによると、シンプルで衝撃的、猟奇性の中に美しさがあり、「愛」と「恐怖」と「悲しみ」が短編の中に見事に織り込まれているそうです。
たった6ページにまとめられた、“楳図かずおが描き出した世界”を是非見てみたいですね。
さて、本作ですが、私はそれほどの駄作とは思いませんでした。
ただ、もっともっと無駄な部分を省くことはできたと思います。
エンドロールで観るのを止めてしまった人がいたなら、その後の「もうトイレには行かない」という知子の言葉を聞かずに終ったことでしょう。
やっと望みが叶ったのに、そういう形でしか自分のものにできなかった知子の歪んだ心が憐れでした。

「楳図かずお恐怖劇場」これで全部観終えました。
総じて、楳図かずお作品を映画化するのは難しい―彼の世界観を完璧に描き出せるのは、彼本人が描く漫画だけである―のだと感じました。
あえてお薦め作品を挙げるなら、第一に「プレゼント」、次に「ねがい」でしょうか。
楳図かずお作品がお好きな方なら、また違った楽しみ方があるかも。

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楳図×黒沢清ということで期待していたけれど・・・

激しくつまんなかった・・・。

怖くもないし、CGがチープ過ぎる！！！

キャストも良いのに、惜しい。惜しい。

梅図かずおファンならば納得のないようだと思います。
あまりVFVとかに頼らない方がこわいのになあ。
子供たちも驚いていました。