リンダ　リンダ　リンダ

冒頭の廊下を歩く長廻しのシーンだけで引き込まれてしまいます。本作が十分鑑賞に値する作品だということを告げてくれます。
何回観ても鮮度が落ちないです。
それは、ブルーハーツの音楽に安直に頼る事もなく、地方色を打ち出してきれいな景色で誤魔化すでもなく、劇的な展開で無理に盛り上げることもなく、文化祭特有のあのざわめきとくすぐったさ（片思いの告白とか校舎で夜を明かすとか）、それのみに焦点を絞り、淡々とエピソードを積み重ねたことにより、結果、かけがえのない日常の風景を切り取ることに成功したからだと思います。
最後のライヴシーンはもっと地味にしても別に良かったと思いますが、忘れがたい佳作に仕上がっていることは間違いないです。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

何度観ても、ワクワクします、これ。

ジェームス・イハのメロディー（絶品！）が静かに流れる中、決して不用意にテンションをあげることなく「ひいらぎ祭」は進み、抑揚無く彼女達は苦悩するのです。


構造の近い話ながら最後の演奏で全てをハッピーにしてしまう『スイング・ガールズ』と違って、『リンダ』はもっと曖昧で、何もかもどうなるか分からない（頭に霞がかかった様に眠い）学生時代を映し出していて、とてもリアルです。

女優陣、一人一人がたまらなく可愛い。香椎由宇の高慢ぶりは、最近作には無いほど徹底してるし。関根史織のおねえちゃんぶり…居たなぁこんな子、大人になった今なら、こういう子をちゃんと評価できるのに（笑）とか。
ペ・ドゥナったら、演技なのかどうなのかも分からない程、リアルに（馴染めない）留学生だし。で唯一、女子らしい女子の前田亜季と。

山下監督曰く「俺のはさりげなさ過ぎて、分かんないかも」と。まさにさりげなく、ひっかかる名シーンの数々…校舎での極秘練習、地の利の悪いスタジオＱ、備品室の告白、自己満足なCLUB VENUS、暮れなずむ川沿いの道、夜の校内を徘徊するソン、アタッチメントの左手、『風来坊』を歌う高校生、客のまばらな体育館…。

いちいちのカットが楽しく、美しく、とぼけてて。決して華々しくはない、多くの「普通」の青春が、ここにはあるのです。

女子高校生の微妙で捕らえがたい心理描写が、とにかく良い。
山下監督らしさ満載の、これまた心に残る作品と言えるでしょう。ぺ・ドゥナちゃん大好きには、たまらんの〜！そうじゃなくても、存分に楽しめ、ラストはきっと、胸が熱くなるはず。
とにかく、出演者たちの演技の自然さが、すばらしかった。
所々で、にや〜りと来る笑いが、わざとらしくなく好感度を。
又、懐かしきブルーハーツの『リンダ　リンダ』を存分に聞かせてもらいました。しっかし、ぺ・ドゥナちゃんは、さすがな存在感。
数十年前の文化祭の盛り上がりを、懐かしく思い出したかな。
あんなに一生懸命だったんだな〜〜〜あの頃は・・・・

ブルーハーツみたいに全編にわたって頭を振りたくなるノリの映画かと思ってたら、ごくごく淡々と、女子高生４人がバンドを組み、文化祭で演奏するまでの３日間が描かれていた。
過剰な音楽や演出、演技が全くなくて、それがすごく良かった。
やけにテンションが落ち着いた高校生だなぁ。なんて感じたけど。
由宇ちゃんけだるさ全開なんだもん。
でもあたしもあんな感じがあったかも。大人びてたかも。
由宇ちゃんと元カレのイチャイチャした感じが好き。
高校生のパワーってすごい。
無謀なことも何とかやってのけちゃう。やりきっちゃう。すごい。

この映画、すごく好きです。


高校の文化祭って、一番いい。
準備も楽しかったなぁ。
男子とも仲良くなったりした。
カッコつけマンの男子がお茶目だったり、大人しかった男子とおしゃべりが弾んだり。
それまで話すことなかったタイプの女子と急に仲良くなったり。
クラス全体が今までにない雰囲気に包まれる。
みんな可愛くて素直で、いい子。みんな大好き。って思ったな。

わたしの高校生活必須アイテム
・ダウンタウンのごっつえぇ感じ
・先生のモノマネ
・さくらももこの「神のちから」
・ＳＰＵＲ
・チャリンコ
・ヒット曲・・・・

毎日ゲラゲラ笑って、落ち込んで泣いて、一生懸命勉強して・・・
何より一番の親友と出会えたのが高校生だったなぁ。今でも一番の親友。

今わたし幸せな気持ち。
この映画、好き。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

題名からして、大体読める。楽曲の「リンダリンダリンダ」まで、どうやって持っていくかの勝負だ。

話はちょっとしたいざこざのため、軽音楽部のバンドの解散。
文化祭は数日後に迫っている。偶然見つけたボーカリストは韓国人。バンドのモチベーションも上がらないが、恋愛あり、青春の一部分あり・・・でＬＩＶＥ。みんな盛り上がってお終い。

問題点は大きく分けて２つある。

役者に「ナチュラル」さを求めている点。その台詞の吐き方が、異常にリアリティーから遠ざけてしまっている。音声さんが頑張ったが、聞き取りにくい台詞の数々は否めない。
そもそも、「自然」なものを求めて私達は映画を観るのだろうか？
私が観たいのは「ゴッホの描いた向日葵」なのに、まるで写真でとられた向日葵を観ているようだ。

随所に工夫がしてあるカメラアングルにはかろうじて点数を上げられるが、監督の持っている「ナチュラル」な自然な会話を私は支持できない。演劇なら平田オリザがやっているが、好きではない。


もう一つの問題は、「高校生活」のリアリティーだ。
あんな物なのだろうが・・・いや、確かに私の頃もあんな感じだった。ただし、もっと青かった。もっと馬鹿だった。もっと猥雑であり、もっと儚かった。

最後のライブのシーンも全員が体育館に集まるロジックが「雨が降ってきたから」で良いのだろうか？

前向きな演出と脚本が見たかった。特別見せ物がない動物園に着てしまった感じである。(それはそれで好きなのですがｗ）

映画としてはどうでしょう？
２５点見る価値無し。