ニュースの天才

　スティーブン・グラスという若き敏腕記者が、全米でただ一誌エアフォースワンに常備されているという政治誌「リパブリック誌」に書いた４１の記事のうち２７もの記事が捏造であったという事実には、じっさいあまりピンとこない部分があるのだけど、劇中アナキン・スカイウォーカー演じるスティーブン・グラスが、思わぬところから自分の書いた「ハッカー天国」という記事に疑いがかかり、必死で言い逃れをし、ウソにウソを塗り重ねていく姿が滑稽でおもしろい。その彼を、初めは信用し、若気の至りの取材ミスとして必死に庇おうとしていたが、自らもグラスを質し、事の真偽を確かめに現地へ赴いたりするうちに、逆にグラスに対する疑念が膨らみ、やがて全てがウソと確信するに至る編集長。演じるピーター・サースガードがなかなか良かった。ある意味、グラス役のアナキン君よりおいしい役どころでしょう。

　それにしても『ニュースの天才』という邦題、『ゲームの達人』でももじったんでしょうか？なんでもいいけど、冴えないタイトルです。

もっと濃いものだと思っていたけれど、割とあっさりだったのでちょっと拍子抜けだったかな。
ヘイデン・クリステンセンが演じているせいか、主人公のスティーブン・グラスに対してあまり憎しみは感じなかったな。
しかし、まあ実際に捏造してるってことも、日本でもありそう。
事実TV番組のヤラセは頻繁だし。
情報の洪水の中で、どれが正しいかを見極めるのは難しいです。
特典に本人が出てたけど、実物はちょっと怪しい雰囲気でしたね。

だけど、映画にするほどでもないですね。

時間のない方は、ＤＶＤ特典にある
「スティーブン・グラスドキュメンタリー」を
見ることをオススメします。
スティーブン・グラスご本人が登場してインタ
ビューに答えてます。これがもっとも面白かった。
60 MINUTESというＣＢＳの有名なドキュメンタリー
番組からです。

インタビューの中で彼はこう答えてます。
「フィクションだからクレームが来ない」
つまり当時の彼にとって、彼の記事ねつ造行為は
罪ではなかった。
いわゆる確信犯ですね。

泣いたりしてますが、それは単純に責められてい
るのが悲しいだけで罪の大きさに対してではない。
何か事件があって記事をねつ造しだしたわけでも
ない。だから、若者がこわれていくということで
はないんです。

どちらかというと頭のいい若者の愉快犯に近いん
です。

このインタビューでは、事件から５年後、やっと
自分の犯した罪がわかったのでこうやってテレビ
に出てきて謝罪してるんだと言ってます。そして
本も出版してます。当時彼に関係した人々はまた
彼がメディアを利用しようと考えてると真っ向か
ら疑ってかかってます。

彼が本当に反省しているかどうかは謎ですね。
この映画でますます彼の本が売れますように(笑)

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まさか、ここまでイントロダクション以上でも以下でもないとは思いませんでした。
イントロダクションに書かれている展開のあと、
結局ただ、彼のスクープが大半捏造だったというだけ
にしか見えませんでしたが？
更に凄い展開があるものと勝手に期待した私が浅いのか。
捏造なんて隠すほどもないくらいに、日常茶飯事ということなんでしょうか。

期待しすぎた反動で、ガッカリした作品です。
とっても残念です。

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邦題の『ニュースの天才』も、実に上手いネーミングだと思うが、
原題の"SHATTRED GLASS "は、ガラスが壊れていくように、グラス自身も壊れてしまったという内容を要約している、的確なタイトルだと思う。
さて、ニュースの天才スティーブン・グラスは、アメリカ国内で最も権威があるとされている政治マガジン「THE NEW REPUBLIC」誌の最年少ジャーナリストだった。
この雑誌は、アメリカ大統領機エアフォースワンに唯一置かれている雑誌なのだそうだ。
彼がその雑誌で発表した４１の記事のうち、２７の記事が捏造だったらしい。
作品中、社内の会議の場面で、スティーブン・グラスが自分の取材中のエピソードや、これから書こうとしている記事について弁舌爽やかに語っているのだが、その時のスタッフの反応というのが、実に象徴的に思えた。
というのも、グラスのスクープネタに関心をもち、笑い転げるほどウケているスタッフたちの反応こそ、読者たちの反応に他ならないとグラスに確信させたと思うのだ。
グラスが慕い信頼していた最初の編集長のマイケルは、後に「結果的にグラスの不正を容認した形になってしまった」と、自分を責め続けていたらしい。（作中で彼は、酒のミニボトルの件で、引っかかるものを感じていた。）
それにしても、調べさえすれば直ぐに嘘と分かるような記事を、グラスは何故書き、グラスの周囲の人間たちは何故、見抜けなかったのか？
マイケルの後釜の編集長のチャックは、こう言った。
「面白かったから」
同僚達が扱う、国際紛争や内政問題などのお堅いネタに比べて、グラスの記事は身近なネタが多かった。
彼の捏造あるいは創作した記事は、『本当のような』嘘の話だったのと、彼の記事によって被害を受ける者がいなかったために、精査されることも無かったのだろう。
彼の捏造が明るみに出るきっかけとなったのは、「ハッカー天国」という記事だったが、ライバル誌の記者アダムの追及に追い詰められていく過程や、編集長のチャックと共に記事の検証のため取材現場を訪れて、窮地に立たされていくのを見るのは、何とも気持ちが重くなるのだった。
チャックの受けたショックと、真実を知りたいという姿勢は、これこそ"ジャーナリスト魂"とも思った。
グラスの妄想である、高校でのジャーナリスト志望者達への彼のアドバイスと成功者としての誇らしげな表情。
嘘を嘘で取り繕おうとする、現実での彼の情けない表情の対比が絶妙。
後半のスリリングな展開は面白かった。