ブラック・ダリア

まず感想から言うと、今ひとつすっきりしない作品。

作品を観た瞬間、『ＬＡコンフィデンシャル』を思い出した。作品の時代背景や、雰囲気が似てたからだが、原作者が同じとは知らなかった。しかし、作品的には『ＬＡ』の方が良かったと思うが、原作を読んで無いので一概には言えないかな。話の展開や人間関係が解りづらくて２度観てやっと納得できるところが多かった。
バッキー（ジョシュ・ハートネット）の目線のみで話が作られてる為、リー（アーロン・エッカート）の考えや、想いが伝わり難いのがとても残念な気がしました。

この作品で、とても気になったのがタバコを吸うシーンです。
近頃のハリウッド映画は、タバコを吸うシーンがかなり排除されてると聞いたが、この作品は出演者のほぼ全員がヘビースモーカーに見えた。やたらとタバコを吸うシーンが多い上に、なんか根元までひつこく吸ってる（タバコの種類に関係してるのか？フイルターが無いせい？）雰囲気作りか、監督のこだわりなのか、判んないがとにかく凄い。

バッキー役のジョシュ・ハートネットは『パラサイト』の時の子供っぽいイメージが残ってて、なんか「ちょいオヤジ」になってたのが少しショックでした。

数多い登場人物と中々核心に迫らない展開、そして作品の主題が実は事件その物ではないと言う内容。これらが複合して眠気を誘い、集中して見れないが為に益々混乱します。

「今のセリフで語られている人物は誰だっただろう？」

「今は何処に彼らはいるのだろう？」

「こいつは誰だっけ？」

やや疲れ気味の状態で、ほっといても眠くなってくる時間帯に見てしまった私は上記の様な問いを始終自問しておりました。そしてともすれば、この様な問いさえ発せずに頭が真っ白のまま画面を追ってしまう。（キャストと映像が良いので、そういう見方でも何となく見れてしまいます。）そして数分後に画面の展開から取り残されている自分に気付き巻き戻す。これを何回か繰り返しました。

難解と言う程では無いのですがとにかく話を追いづらい。そしてタイトルから期待する様なダリア事件を主題とした素直なサスペンス作品ではない事がそれに拍車をかけます。

そういう観客が多い事を予想したかの様に人物相関図なる物が付録で付いており、私も最後にそれを見る事でストーリーの全容を把握する事が出来ました。多分もう一度見るべきなのでしょうが、その気になりません。あまり好きなタイプの映画では無いもので。

恐らく大多数の人が同じ様な感想を持つのではないでしょうか。あなたも疲れた時にこの作品を鑑賞し、この言葉をつぶやいて下さい。

「ブラック・ダリアって、だりあ？」


・・・お後がよろしいようで。

ジェイムズ・エルロイの暗黒小説「ＬＡ４部作」の1つです。これは全部読み通すと1930年代から50年代にかけての、腐敗しきったロス警察とギャング（犯罪組織）、政治家の癒着の構図がわかって面白いんです。4冊とも、トラウマや己の過去の罪意識を抱えながら、目の前の悪と戦う正義感の強い刑事たちが登場するんだけど、結局いつもむなしい結果に終わって涙が出るの。そしてず〜っと甘い汁を吸ってきた本当の悪者が誰だったかがあぶりだされてくるんです・・・。
といっても、みなさんに何言ってるのか分からないだろうな。それほど説明の難しい入り組んだ小説なので、映画のするのはそりゃ無理だと思います。
が、が「ＬＡコンフィデンシャル」はすごく良くできた映画だったでしょ〜。「へえこんな風におしゃれにまとまるんだ〜」と感心していたので、このブラックダリアも非常に興味津津でしたが・・・やっぱり無理でしたね。
元のストーリーをバッサバッサとカットし、リーの最期や事件のまとめ方まで変えてしまったのに、それでも「何がいいたいんだか分からない」映画になってしまいました。
リーがなぜあれほどまで病的にブラックダリア事件に執着するのか。バッキーがなぜ金持ち娘のマデリンと寝てしまうのか・・・その背景が伝わってこなかったものね。本来の主役はリーとバッキー、ケイの三人。「ブラックダリア事件」そのものを扱っている映画ではないのに「謎解き」だけが気になる中途半端な仕上がりです。
まあ、ストーリーが変わっているのは制作上の都合として許せるとしても、絶対許せないのはヒラリー・スワンク。マデリンはバッキーがとりこになってしまうほどの小悪魔的な美女でなければこのあらすじは成立しないのに・・・・あの精悍な顔つきはぜったり無理がある。そこにいちばん憤慨しました。

上手に作られている作品だと思いました。
内容としては，サスペンスの部類に入る作品だと思います。人間関係の交錯，殺人事件の残酷性，視聴者へのだまし，等々とてもよく表現されています。
終始，ゆったりとした時間テンポで進みます。冗長な印象ももつかとも思いますが，この時間感覚が逆にリアルです。終盤ではこの感覚をもったまま話が急展開し，不思議な世界が体験できると思います。また，淡々と，殺人が行われ，人々が交錯し，謎が動いていきます。１９４０年代というクラシックな雰囲気ともとても調和しています。
キャストも自然で無駄がないと思いました。

ただひとつ，似ている人，名前，が多すぎて，話がよく理解できなかったところが多かったところは残念でした。

サービスシーン・ラブシーン多数。暴力シーン多数。お子様にはお勧めしません。ワイン片手にアダルトな雰囲気でご覧になってください。とても雰囲気が良い作品です。

私的評価：★★★☆☆（３点）

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殺人事件、殺人鬼ファンなら必ず知っている有名な事件です。
原作は読んでないので詳しくはないのですが、ハリウッド女優に憧れたミーハー女が残酷な屍体となって発見された事件であり、スナッフムービーや芸能スキャンダルの文脈で語られた事件です。
出だしのボクシングからどう繋がっていくのか、ヒヤヒヤしてみていましたが、とりあえずまとまってホッとしてます。やや、強引な気もしますが。

日本にもマスコミが公にしない未解決殺人事件があります。
妊婦の腹を裂いて、腹に電話機をいれるという猟奇殺人事件です。
この事件のすごいところは子供が死ななかったことで、おそらく現在も生存しているはず。少なくても医学知識がないとできない犯罪であり、この事件もブラックダリア事件同様、様々な憶測を読んでいます。でも事件関係者が生存しているので、この事件の映画化は困難です。「事実を元に映画化」というキャッチフレーズは使えません。日本ではなく外国でやってほしいです。

デパルマという監督さんは巨匠になってしまったので、私の好きなジャンルムービーは撮ってくれませんが、ナンシーアレンと結婚していた時期は、私達側のホラー専門の時期もあったはず。
同じヒッチコックが好きなアルジェントが作風を崩さず頑張っているので、昔からのファンをびっくりさせるような映画をとってほしいです。