プロヴァンスの贈りもの

　その記憶が生き生きとよみがえった時、彼はついに自分の選択すべき人生がどこにあるかを悟る、という物語。プロヴァンスやブルゴーニュを舞台にした、個人経営のワイナリーの相続問題を扱った作品は数多くあり、物語の自然な流れからいって、ワイナリーを売り飛ばして決着するという展開にはなりにくい。だから、当然のこと結末は予想がついてしまうので、その過程をどう描くのかが、作品の見せ所になる。

　マックスは、少年の頃、伯父ヘンリーの所有する南仏プロヴァンス地方のワイナリーでいつも夏休みを過ごし、ワインやワイン造りについて伯父の薫陶を受けていた。ところがそれも今は昔、そんなことはとっくに忘れ去られて、現在はロンドンでトレーダーとして成功し、高額の株の売買をして、多忙で刺激の多い日々を過ごしている。そんな彼に長らく疎遠になっていた伯父の訃報が届き、彼がワイナリーを相続することになる。

　彼にはワイナリーを維持する気などさらさらなく、懇意にしている不動産業者に早速売却の仲介を依頼する。売却相手の見学に備えて、荒れ果てたシャトーや敷地にあるプールやテニスコートを手入れしていくうちに、少年時代の様々な記憶がよみがえってくるが、彼の決心は変わらない。伯父の娘だと名乗る若いアメリカ人女性が登場したりもするが、彼女は相続権を主張するつもりはないと言う。

　マックスは、滞在するうちに次第にその地域に馴染み、ワインの味を思い出し、レストランを経営する女性と親しくなったりする。彼女は一度結婚に失敗しており、恋愛には慎重で、プロヴァンスを離れるつもりはないとマックスにきっぱりと宣言する。伯父ヘンリーのぶどう畑を丹精込めて手入れし守ってきたデュフロには、ヘンリーの魂を売り飛ばした、愛した人を裏切った、と非難されるも意に介さないマックスだったが、突然ある記憶がよみがえってきて、それがすべてを変えてしまう。

　賢く素直なマックスの少年時代を、フレディ・ハイモアが演じています。マックスの秘書を含めて、登場する女性たちはみんなとても魅力的なのですが、肝心の大人になったマックスが、この再生の物語には、やや粗雑な感じで繊細さに欠けるのがとても残念。プロヴァンス地方のロケーションは建物を含めてとても素晴らしいです。

コメディタッチのラブロマンスなので、ラッセル・クロウよりかは繊細で弱々しい感じも出せる２枚目俳優に演じてもらった方が良かったのかなとは思いました。ゴッホが糸杉の絵を描いた南仏プロヴァンスの景色の映像は美しいです。物語の中でこういう素敵な映像が見れるのは映画の醍醐味です。この物語はテンポが良くメリハリもあって楽しい映画です。いい映画を観させていただきました。

ラッセル・クロウはいい役者だけど、頭がいい役はあんまり似合わんと思う。ゴツゴツしたおっさんなんだから、そっちでガッツリやってくれた方が面白さが出ると思うんだが、たまに出てきて違和感を持たせられながら物語は進んでいく・・・まぁ、うまいんで、しっかりと話しは進んでいくだけどね。どうもね・・・

で、この話は、まあなんてことはない田舎バンザイ映画。悪くはないし、穏やかな雰囲気で物語は流れていき、いいよね、こういうのって、っていう感想しか出ない、そういう映画です。ワイン好きな人にはいいかもって思ったけど、あんまりウンチクやワインの良さが伝わらなかったので、どうなんでしょうか。

感想･総評：変な緊張感もなく気楽に見られる作品

対象年齢：中学生以上（暴力場面なし。ややＨな場面あり）

食事中に見られるか：大丈夫でしょう

ワイン絡みの映画としては「サイドウエイ」の方が良かったです。　
ただ、リドリー・スコットとラッセル・クロウが組んで悪い映画になるはずもなく
脇も「ビッグフィッシュ」の親父とか「チャーリーとチョコレート工場」の子役
「エディット・ピアフ　愛の賛歌」の女優とか豪華でした。

ただ、コミカルな作りは分かりますが、もう少し大きな流れが欲しかったです。
冷徹なビジネスマンと素朴な田舎の人間の対比なんかでは
「マカロニ」の方が遥かに上でした。
（「マカロニ」のジャック・レモンは冷徹ではなかったですが）
車嫌いの私ですが、ラッセル・クロウが乗っていた可愛い車は乗りたくなりました。