ニュースの天才

この主人公絶対反省してないよな、面白おかしく本にしてみたり、映画にしたり…
またこういう映画を喜んで見てる私たちにも問題はあるかもですね。

なので、ちょっと辛い目の評価にしました。

よくある芸能人のスキャンダルなんてでっちあげも多いだろうけど、それは存在している人の話。
この物語は、場所以外はほとんど存在していない人の話をでっちあげで一躍有名になる記者の話。
よくここまででっち上げて、バレなかったなぁ〜と、感心。
チェックする係みたいな徹底した管理の元でずっーと捏造での記事を書いていた主人公。
こういう人って通常であれば、出世欲の塊みたいな人が多いんだけど、この主人公はそうではない。
はじめはどうだかわからないけど、徐々に強迫観念のような行動だったんだうなぁ・・・と。
どちらにしても、迷惑この上ない。
すがりつく姿が痛々しかったです。

　先日観た「スキャンダル」（98）がえらく面白かったので、脚本家ビリー・レイを追いかけての鑑賞。こちらは監督デビュー作だそう。

　ふむ、やっぱりこの人の脚本、ワタシ好きです。実話ベースなのでどこまでを事実通りに描き、どの程度脚色するかで面白さが違ってくると思うのだけど、本作では事実をかなりそのままに描いているようだ（特典映像を見る限り）。ロケーション、誌面、ウェブサイトなどは実際のまま。本人のインタビュー映像も見たが、考え方や当時の心境なども本人像に迫っている気がした。目立った脚色は映画としての「語り」の部分のみのようで、それは母校に招かれてジャーナリストを目指す後輩たちに自分の仕事について語る、という部分なのだけど、個人的にこういう語り方はすごく好きだし上手いと思う。自分の功績を振り返るという構成で事実を描いていく訳だけど、凡百の映画であれば普通に「ことの始まり」から「終わり」までを時系列で描くだけだし、下手クソな脚本だと旧知の間柄で「あの時はああだったよね〜」って白々しく会話させてしまう。この映画では初めて会う高校生たちに自分の話をするというシチュエーションを作ることで、そういう説明ゼリフを回避しているのだねー。しかも、この設定にはひとヒネリあり。印象的な記事のタイトルを彼に喋らせないで学生がノートに書きつけた文字で見せるという描写なんかも、オシャレすぎてゾクゾクしちゃいます（笑）。

　権威ある政治雑誌で次々と捏造記事を発表していたスティーブン・グラスという人物を、映画はかなり淡々と描いている。事実を事実のままに、という印象。普段の彼の様子、女性スタッフの服装やアクセサリーをさり気なく誉めたり、パーティの時には同僚たちそれぞれの好みに合わせて飲み物を確保してあげたりする、なにしろ気が利く奴という描写も、おそらく事実なんでしょう（と思うんだけど）。一方で彼自身の内面を語らせるシーンはほとんどない。何を思い、何が目的で、といったことには触れず、インチキが暴露されたときにも座りこんで泣くだけだ。しかし、これで十分にスティーブン・グラスなる男の全貌が見える気がする。「医者か弁護士でないと許されない家なんだ」という短いセリフだけで、彼が育ってきた環境が分かっちゃうもん。家族から常に過大な期待を寄せられ、それに応えられる自分でなければ認めてもらえない（と思い込んでいる）ので、必死になって「他より秀でている自分」を演じる。そうやって「他者から認められる自分」であることでアイデンティティーを確立してきた彼は、いつしか「周りから誉められ好かれる人物でなければ自分じゃない」という思い込みにとりつかれてしまったんじゃないだろうか。こりゃ単なる「功名心」どころの騒ぎじゃない、ビョーキの範疇でしょう。異様なほどの周囲への気遣いも、そういうことだと思う。過剰適応というやつですな。

　ウソがばれたとき、ジャーナリストとしての責任はもとより多くの人を騙してきたという罪意識が全く欠如していて、彼の口から出てくるのは「怒ってる？」という相手の「機嫌」を伺う言葉と、目の前にいる人が自分を認めてくれなくなる、好いてくれなくなる、そのことに対する恐怖心しかない、その場しのぎの「ごめんなさい」だけ。社会人としての謝罪ではなく全くの子供の言い分。これが、この恐るべき「天才」の実像なんだと喝破している見事なクライマックス、余計な感情吐露も説明もさせないストイックな脚本に私は唸りましたよ。

　ジャーナリズムの使命、報道における真実と虚偽、などなど社会派なテーマを扱っている本作ですが、私個人としては、スティーブン・グラスという一人の男の姿、天才の栄枯盛衰にもののあはれを覚える作品として楽しみました。類稀なる才能をもって築いた功績と、嘘で塗り固めた牙城の崩壊。いやぁ、こんな人がいたなんて、人間ってホント測り知れないなぁ・・・。

記者として成功したいが為にダークサイドへと落ちていく若者を描いています。ネタとしては面白いんだけど・・・いまひとつに思ってしまうのは、なんでだろうか。

多分ね、このネタとなった嘘記事、面白いんだけど、ほんま、誰も裏をとらずにそのまま記事にしてしまったのかと思うとぞっとしてしまうんです。本当にそうだとすれば、意外と世の中には嘘記事が多いということになってしまいます。まぁ、そんなの分かってるわ、という人はいいんでしょうが、私、記事とかは結構信じてしまうんで・・・

もっとがっつりと彼がそれをなぜしたか、巧妙な嘘であったから、誰も見破れなかったんだ、というようなことを描いてくれると合点がいくのですが、あまりにも陳腐な嘘であったのが、物語を薄っぺらくしてしまいました・・・

さてさて、主役を演じているスティーブン役のヘイデン・クリステンセン。ダークサイド堕ち役ばっかりにならんように頑張ってほしいです。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

まさか、ここまでイントロダクション以上でも以下でもないとは思いませんでした。
イントロダクションに書かれている展開のあと、
結局ただ、彼のスクープが大半捏造だったというだけ
にしか見えませんでしたが？
更に凄い展開があるものと勝手に期待した私が浅いのか。
捏造なんて隠すほどもないくらいに、日常茶飯事ということなんでしょうか。

期待しすぎた反動で、ガッカリした作品です。
とっても残念です。