その男、凶暴につき

この作品、初めて観たときは「なんやこれ、たけしが無茶苦茶やっているだけやないか。」と思ったんですが、改めて観ると、このなんていうんでしょうか、心が無い暴力の描写っていうやつで、映画的ではないけど、これはこれで表現としてはアリかな、と思ってしまいます。時代がたった、とうことなのでしょうか。

でもまぁ、そういうことをふと思うような作品でして、「アウトレイジって面白い！！って思ったけど、たけしがとった行動はまるっきりコレやん！！」と自らに突っ込んでしまいたくなった、そんな作品です。原点って色々とみれて面白いね。

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　ホームレス狩りの中坊をぶん殴って自首を強要する刑事。主人公が警察署に出勤する日常を見るだけで、この男がいかに一匹狼なのかがわかるのが見てて面白い要素の1つだと思います。映像だけで何が起こってるのか説明してしまう。

　主人公の暴走っぷりがキャラクターとして面白いのとカタキ役の清弘という男。この人も面白い人物で、岸部一徳さん演じる上司の命令を聞かないでどんどん人を殺していく。暴走する2人が誰にも止められず激突していく死闘。

　映像の見せ方も北野映画独特の間合いで、タレコミがあって踏み込んでホシを逃がしてからの追いかけっこの長さも映画の間が面白いポイントとかだと思いました。
　
　主人公が聞き込み程度で一気に黒幕までたどり着いてしまったりするのがよくわからなかったですが。敵を合法とか関係なく追い詰めていくカッコよさ。
　そしてクビになって、主人公は絵画を見たりする日常パートもいきなり異質な展開で不思議な気持ちになります。その間に、主人公の妹が拉致されて……。

　クライマックスの展開も清弘の子分とかの顛末も見たことないようなものなので、カッコよさを感じるポイントでした。

　ただ岸部一徳さんの立ち位置がよくわからず実業家なのかヤクザなのか一体どの立場なのかよくわからなかったのが清弘を操る黒幕としての凄さがわからなかったのがイマイチでした。

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ゆったり、ねっとり（？）した展開が、
見てて、しんどい……。
何でも無い＜マ＞が、疲れる……。

もし、この映画を１０代の頃に見ていたら、
衝撃を受けたのかも。
さすがに、今みると………。

暴力刑事が肩書き取れて、さらに危険な男に…
ってなストーリー。
何となく、予想のつく展開…。
ラストも、そんなもんやろな…みたいな…。

でも、雰囲気は嫌いじゃない。

特に、何度も流れるBGMが好き。
陰うつな感じと、すっとんきょうな感じが、
みょうに物語にハマってた♪

あと、たけし。
正直、あんま好きじゃない。
けど、終盤のタケシの表情は好き。
（ちょっとカッコ良く見えたりして（笑））

これで、まったりネットリしてなければ、もっと好きだ。


「どいつもこいつも、きちがいだ」
…ボソリとつぶやく、ある男。
このセリフが、この映画の全てを語ってるんだよね、きっと。

ヤクザが恐いのは、関西弁（それも河内方面の「われ、何抜かしとんじゃ。」みたいな）の強烈なイントネーションを持つ最上級の脅し文句のためでしょう。
普段聞くことのない、どぎつい言葉の暴力に一瞬ひるんでしまうと、人はその人に恐れを抱き「殺されるかもしれない」などと怯えて取り込まれてしまうのですが、
そういうヤクザの中では、本当に恐ろしいのは、いくらどやしつけても、無口でモノに動じない奴。
普段は目が死んでいるようなのに、暴力で相手を痛み付けたり、逆に自分が痛みつけられたりしてるときには爛々と輝きを増すような目をする奴ほど恐いものはないそうです。
そして、暴力団同士の抗争で邪魔な奴を排除したいとき、キヨヒロのような、平気な顔して人を殺すことができる鉄砲玉が組織には必要とも聞きます。

ビートたけし演ずる刑事の吾妻は、そういったヤクザの対応に精通しているところを見せています。やくざ自身、本当に暴力を使ったら警察にしょっぴかれてしまうことはよくご存知で
脅し文句で迫る相手のパターンに警察の身内しかいない場面では先制攻撃で殴る蹴るの暴力を加え、相手がひるんだと見るや言葉の暴力で相手をひざまつかせてしまうパターンです。
そうした暴力刑事も最初のうちは汚れ役として警察署長からも認められていたのが、キヨヒロという鉄砲玉を相手にするところから変わっていきます。
言葉の暴力の全く効かない相手を、いくらどやしつけても意味のないことをよく知っている吾妻は、だんだんと無口になっていきます。
台詞が少ないという北野作品の特徴が早くも初監督作品でよく出ていますね。最後、最大の暴力的手段である拳銃を手にした以降はほとんどしゃべっていません。
殺し合いに言葉はいらない。それが現実なのでしょう。

北野監督のスタートダッシュは、半端なかったことを実感。
当時既にこれだけの衝撃作品を発表されているのであれば、
逆にもっと今に期待を持っていいのではないかと感じるほど。

ストレートな暴力と、ストレートな感情、ストレートな愛情に、ストレートな描写。
様々な部分で味わえる奥行ある構図が、1シーン1カットに深みを出し、
絵を描く才能がここにも十分発揮されている印象。
無駄なカット割りが一切ない部分にも、デビュー作とは感じさせない天才ぶりが
うかがえました。

予告編の構成は配給会社が行うのでしょうか？どうも素人が
編集したのか、誰が見てもイマイチ。見ない方がより楽しめます。

幅広い層が支持できる映画ではないですが、北野監督のバイオレンス作品を知る上で、
見て損なき作品でした。

ラストの皮肉り度は、なかなかの憎たらしさを残しますね。
20年前にこんなことやってるんですねぇ・・・