ほとんどの人にとっては全くどうでもいいことでしょうが、
訂正させてください。
先日私が投稿した「FILMS/ミスプリント」のレビューで、
「聴くこと叶わず、はや十数年」としていたのは、
「聴くこと叶わず、はや数十年」の誤りでした。
オリジナルLPの発表年は1980年なので、
念のため記しておきます。

良いです！
これも当時よく音楽誌で目にした作品ですが、
聴くこと叶わず、はや十数年。
ジャケのイメージで、もうちょっと
もっさりした屈折感の強い世界を想像してたけど、
とんでもない。
この「明るい絶望」を抱えながらのキラキラ感。
実にあの頃ならではのものです。

音楽的には、そんなにテクノテクノしてなくて、
10ccやカフェ・ジャックス辺りの
捻りの利いたメロディーが光る70年代モダン・ポップに、
適宜エレ・ポップ的な要素を加味した感じ。
ピコピコ感より、ユニークでセンスの良い
SEやギミックの方が耳を惹きます。

そして、そこに乗る歌詞が何とも。
必ずしも未来に楽観的ではない、
むしろ(陳腐な言葉を用いるなら)
ディストピア的でさえある世界観を、
しかし決して暗くはならず、
明るくキラキラと歌い上げている。
この感じ、当時の漫画なんかにも
よく見受けられた感覚だと思います
(何にせよ、あの頃「暗い」っていうのは、
現在の「ダサい」以上にNGだったから)。

ジャケがもっとポップだったら、とも思いますが、
このちょっとブラック・ユーモア的な感覚は、多分に
チューブスの「リモート・コントロール」なんかを
意識してたのかも。
そんなこんなはともかく、80年代の遺物にしておくには
もったいない名作です。